BEGO Wironitの分析

2020年2月29日

ウイロニットの成分元素は Co:コバルト、Cr:クロム、Mo:モリブデン、その他 (Mn:マンガン、Si:ケイ素)です。
ウイロニットの成分 質量%に着目しました。

  1. BEGOの薬事コンサルタント山本款路氏が作成されたBEGOウイロニットの添付文書では「コバルト64.0%、クロム28.7%、モリブデン5.0%、その他(シリコン、マンガン)」となっています。
  2. 地方独立行政法人大阪市立工業研究所に蛍光X線分析して頂いた結果では、

    ① C,Oを除外した場合:コバルト62.8924%、クロム29.7122%、モリブデン5.3744%

    ② C,Oを除外しない場合:コバルト62.0142%、クロム29.3175%、モリブデン5.2968%でした。

A, B の数値の違いが物性にどの程度の影響があるかわかりませんが、弊社のCEOが生物学的安全性評価者にされたままなので大変気になります。

そこで、BEGOのカタログのWironitの物性を調べました。

表 1

BEGOのカタログに記載されているWironitの物性

カタログ発行年 2011~2015 2017 2019
金属の物性
Type (according to ISO 22674) 5 5 5
Density 密度 8.2 g/cm3 8.3 g/cm3 8.3 g/cm3
Preheating temperature 焼成温度 950–1,050 ℃ 950–1,050 ℃ 950–1,050 ℃
Solidus temperature, liquidus temperature
固相点、液相点
1,320–1,350 ℃ 1,265, 1,395℃ 1,265, 1,395℃
Casting temperature approx. 鋳造温度 1,460 ℃ 1,460 ℃ 1,460 ℃
Modulus of elasticity 弾性率 211 GPa 185 GPa 185 GPa
0.2 % elongation limit (Rp0,2 ) 耐力 600MPa 615 MPa 615 MPa
Tensile strength (R m) 引張強さ 880 MPa 895 MPa 895 MPa
Ductile yield (A5 ) 伸び 6.2% 10% 10%
Vickers hardness ビッカース硬度 350 HV10 360 HV10 360 HV10

Qualified analysis in % by mass 成分と質量%

カタログ発行年 2011~2015 2017 2019
Co 64 64.0 64.0
Cr 28.6 28.5 28.5
Mo 5 5.0 5.0
Other Si 1 • Mn , C each < 1 Si 1.0 • Mn 1.0 • C Si 1.0 • Mn 1.0 • C

表1からわかりますように、2015年までのカタログのウイロニットの物性と 2017年以降の基本的な物性は全く異なります。

このことは、従来のウイロニットとは全く別の金属を、製造販売のために新規認証申請するのを避ける ために「製品名、成分と質量%、製品の包装とデザイン」を従来と全く同じにしたと思われても仕方ない事です。

このような不明瞭なことをするBEGOですので、一日も早く弊社のCEOを生物学的 安全性評価者にしたままにせず、BEGOのCEOに変更して頂きたいです。


エーピーエス株式会社

取締役 中井陽子